教育研究領域 (大学院)
代数
本領域では、代数学の主要分野である、群論・表現論・可換環論・代数幾何学・数論等について教育研究を行っています。
表現論では量子群や無限次元リー代数の表現の研究を行っています。また可換環論ではホモロジー代数などの手法を用いた研究を、代数幾何学では複素代数多様体の構造についての研究を、数論ではエタールコホモロジー、p進コホモロジー、モチーフ、p進解析などの道具を用いた代数的サイクルとゼータ関数の関係、ガロア表現、分岐理論などについての研究を行っています。
幾何
本領域では、現代幾何学を教育・研究します。
幾何学的考え方は近年、自然科学の多くの分野に浸透しつつあります。現代幾何学の研究対象は多様体を中心とする様々な空間です。我々はそれらの大域的構造を位相幾何学(トポロジー)及び微分幾何学の様々な手法を用いて解明することを目標とします。
特に、本領域では3、4次元多様体の構造の研究、幾何学的結び目理論、ミラー対称性と関わる代数トポロジーや、そのシンプレクティック幾何的側面、空間ホモトピー理論の研究等を行っています。
基礎解析
解析学の基礎的研究分野である微分方程式論と複素関数論に関する教育・研究を行います。
複素解析学、代数解析学、関数解析学、超関数論など様々な手法を用いながら、特に、線型および非線型偏微分方程式の局所/超局所理論、擬微分作用素の代数解析的研究、複素偏微分方程式の解の特異性と特殊関数、タイヒミュラー空間や複素力学系などについて、理論体系の系統的な教育から始め、現在まさに進行中の最先端の研究へと進んでいくことを目標とします。
応用解析
複素関数論、フーリエ解析、関数解析を用いた解析学およびその周辺の応用分野の研究および教育を担当します。
調和関数の境界値問題へのポテンシァル論の研究、三角関数系のみならず他の正規直交系に関するフーリエ級数の研究など線形現象に関わる研究から関数解析の手法を用いた非線形現象の数理モデル化などの非線形の解析学も展開します。また、複素多様体の位相幾何学的研究や、非可換現象(量子現象)の幾何学として作用素代数の構造解析など数理物理学とも密接な分野の研究も展開されます。
確率・統計
確率・統計の主要な分野である数理統計学、確率解析学(および可積分系)の教育、研究を行います。
数理統計学では、代数統計学を中心に統計的因果推論の理論と実際について研究し、理論的予想と計算機シミュレーションの結果との比較を行います。確率解析学では、物理、生物、経済等における諸現象を記述する確率模型について研究します。可積分系の理論との関連についても考察し、模型の持つ代数構造や対称性を明らかにして、相関関数や極限分布の詳細な性質を議論します。可積分系は、様々な物理現象を起源とする模型を研究する数理物理学の一分野です。これについても表現論、組み合わせ論、代数幾何などの手法を用いて模型の数理構造を調べます。
情報数理
情報科学における数理的基礎の領域であり、型理論、数理論理学、プログラム理論、形式的検証論、アルゴリズム論、広義の離散数学としての符号理論や暗号理論等について教育研究を行います。
プログラムの性質について正確に論じるためには、プログラム言語の中核部分を抽象化してその意味を明確にする必要があります。型理論やラムダ計算の理論はそのための理論であり、また、これらの理論は直観主義論理や部分構造論理などの論理体系とも密接な関係があります。よって、これらの理論に基づいたプログラミング言語の理論および数理論理学の教育研究を行います。
プログラム理論や形式的検証論は、上記の抽象化された理論を実際のプログラムに適用することを可能にします。計算機プログラムの動作が仕様に沿っているかを計算機上で検証するためには、それに適したアルゴリズムとデータ構造、さらに検証全体のための枠組も必要となり、これらを対象とした教育研究を行います。
符号理論と暗号理論は、特定の用途に適する情報の構造を研究する基礎理論です。群論、整数論、幾何学、情報理論、計算理論、組合せ論などの幅広い分野と関係します。